社会
近藤氏が公団総裁を受諾
2003/11/16
 日本道路公団の総裁に内定している近藤剛参院議員は14日、石原伸晃国土交通相を訪ね、「全力でやらせてもらう」と述べ、総裁就任を受諾する考えを伝えた。近藤氏は特別国会召集日の19日に議員辞職し、20日以降の閣議で総裁就任が口頭了解される見通しだ。
 小泉純一郎首相と石原国交相が13日午後、首相官邸で近藤氏に就任を要請していた。  2005年度の道路公団の民営化に向け、藤井治芳前総裁の解任で揺れる組織の立て直しや、12月中に決まる民営化の枠組みづくりなど課題は山積している。特に、組織立て直しでは副総裁や理事などの幹部人事の見直しなどが焦点となる。
 藤井前総裁に対する名誉棄損があったとして、現役幹部を相手に公団などが起こしている損害賠償訴訟や準備中の告訴についても、混乱収拾のためにどうするか、近藤氏は就任早々から判断を迫られそうだ。
[藤井総裁] 解任手続きは入り口で対立 国交省の聴聞
2003/10/17 Mainichi
 「道路行政のドン」をめぐる解任手続きは、その根拠論という「入り口」で双方が対立し、冒頭から進行が立ち往生するという波乱含みのスタートとなった。
 17日、日本道路公団の藤井治芳総裁は国土交通省による聴聞に臨んだ。総裁解任という人事権の“刀”を抜いた石原伸晃国交相は会場には不在。午前中は総裁の代理人が盛んに質問を繰り返し、藤井総裁はほとんど発言しないまま昼食休憩に入った。総裁側による本格的な「反撃」が始まった。
 藤井総裁は午前9時41分、報道陣のカメラが待ち受ける中央官庁合同会議所前に道路公団の公用車で現れた。紺の背広に青と黄色のネクタイ姿。車を降り、関係者に囲まれるように会議所へ向かった。「今の心境は」との報道陣の問いかけには終始無言。前をまっすぐに見つめ、口をかたく結び、緊張した面持ちのまま、ゆっくりした足取りで会議所2階の控室に入った。 会場内で着席した藤井総裁は、主宰する国交省の山本繁太郎政策統括官をにらみつけた。報道陣の撮影の間、緑色のかばんから資料を取り出し、前を見据えた。時折笑顔も見せ、右隣に座った弁護士と一言二言、言葉を交わしながら、聴聞会の開始を待った。
 聴聞は、藤井総裁の代理人の小長井良浩弁護士による「抗議」で幕を開けた。山本統括官が聴聞の手続きや注意事項の説明を始めると、小長井弁護士はやにわに立ち上がり「聴聞の通知書が届くまでに十分な猶予期間がなかった」などと、最高裁の判例を示して問題点を指摘し始めた。山本統括官は「後刻、審理の中で発言があれば時間を与えます」として発言を取りやめるように注意したが、小長井弁護士は「説明の前に発言しなければ権利を失う」などと繰り返した。山本統括官が「行政庁の説明をさせます」とさえぎり、ようやく国交省道路局の原田総務課長の解任理由の説明が始まった。
 原田総務課長の説明後、小長井弁護士は抗議を再開。「十分な時間がないということは国民の人権にかかわる問題だ」などと強硬に迫った。山本統括官は「法にのっとって(手続きを)行う」と答えたが、弁護士はさらに「退職手当や恩給法の手続きは」「処分は懲戒か、(公務の能率維持が目的で本人の責任を問わない)分限か」などと次々と質問をぶつけた。国交省側は回答に右往左往し、午前10時55分から休憩に入った。 休憩中、藤井総裁は山本統括官に「まだ、公式じゃないですよね」と小声で切り出し、「相当慎重にしないとね。僕は思う。これからの人たちが大変になる。これ問題。重大ですよ」と話した。
 再開後、藤井総裁のもう一人の代理人である内野経一郎弁護士が「退職金も払わずに『総裁はうそつきだ』と与党の責任者が(公団から)たたき出すなら、十分に反論の機会を与えないといけない」と発言。小長井弁護士は「民主・自由両党の合併大会の日に(更迭決定を)ぶつけたのは選挙の道具」と、人権侵害と違法性の疑いがあることを指摘した。 正午すぎ、昼食休憩に入り、攻防は午後に持ち越された。
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 処分の性格再三の追及 聴聞開始後、藤井総裁の代理人の弁護士は「今回の解任処分が公務員の分限処分に当たるのか、懲戒処分に当たるのか」と、処分の性格について再三、追及した。国交省側は「日本道路公団法に基づく処分である」と繰り返したが、代理人は納得せず、午前11時前に審理が一時、中断する一幕もあった。
 公務員の分限免職処分は、公務の能率維持が目的で、本人の責任を問うものではないとされる。一方、懲戒免職処分は、職務上の義務違反や非行に対する制裁として行われる。懲戒免職の場合は、処分を受けた者は処分時から2年間は官職に就けないが、分限免職にはそうした効果はない。 日本道路公団法は「国交相は、役員に適しないと認める時は解任できる」と定めているが、公務員の場合の懲戒免職、分限免職のどちらに相当するのか、明確には規定されていない。
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 会場周辺では、雑誌記者らも遠巻きに見守った。午前10時20分ごろ、イタリア国営ラジオのピオ・デラシア東京特派員(49)が「取材したい」と中に入ろうとして国交省職員と押し問答になるひと幕もあった。同記者は「公開だからと来たが、記者クラブ加盟社だけ許可するというのはおかしい。欧州ではどこにでも入れる。普通の国とは言えない」と報道陣に話した。
藤井・道路公団総裁、解任手続きに抗議
2003/10/17 Mainichi
 日本道路公団の藤井治芳(はるほ)総裁に対する解任手続きの一環として、国土交通省は17日午前10時から、藤井氏に弁明の機会を与える聴聞を、東京・港区の中央官庁合同会議所で開始した。
 この中で藤井総裁側は、聴聞の通知を受けてからの期間が10日間しかなかったことなど手続きの進め方に問題があると抗議、解任に徹底抗戦する姿勢を示している。聴聞は正午過ぎ、休憩に入った。午後1時半に再開する。
 聴聞は原則非公開だが、藤井総裁側が「密室で一方的に処分が行われ、人権が侵害される恐れがある」と公開で行うよう申し入れ、報道陣の傍聴を認めた。聴聞には、藤井総裁と、代理人の小長井良浩弁護士ら4人の弁護士が出席した。
冒頭、進行管理を担当する「主宰者」の山本繁太郎・国交省政策統括官が開会を宣言した後、国交省側が、解任理由について「藤井総裁は道路公団の財務諸表問題で適切な対応を怠り、国会答弁が変遷するなど、不誠実な対応があった」「公団外での居場所を秘書以外に知らせない不自然な組織運営を行っており、職責を誠実に遂行していない」などと指摘。「一連の対応は国民の信頼を著しく損ね、総裁として適格性を欠いている」と主張した。
 これに対し藤井総裁側は、聴聞に対する準備期間に関し、「最高裁判例などに照らして著しく不足している」と抗議したほか、「処分の基準はどうなっているのか」「懲戒処分なのか」など、手続きの詳細についての質問を繰り返し、「日本道路公団法13条に基づき、総裁の資質に欠けると認めた」とする国交省側と押し問答を続けている。また総裁側は、「(総裁更迭が)選挙の道具に使われたとの見方がある。(解任が)懲戒処分であるなら、裁量権の乱用ではないか」とも指摘した。
 藤井総裁をめぐっては、道路公団が債務超過であることを示す財務諸表の存在を隠した疑いなどが指摘され、石原国土交通相は公団民営化の支障になると判断、総裁に辞表を提出するよう要求した。しかし6日、総裁が辞表の提出を拒否したことから国交相が解任の手続きに入っていた。
藤井総裁、早々に抗戦姿勢…国交相会談の詳細判明
2003/10/17 Mainichi
 「辞表を書いてほしい」「どうして私ひとりをやり玉にあげるのか」――。石原伸晃国土交通相が藤井治芳・日本道路公団総裁に退任を求めた今月5日の会談の詳細な内容が16日、明らかになった。藤井氏は、この席で早くも、辞任要求に徹底抗戦する姿勢を鮮明にしていた。
 国交省の大臣室で5時間にわたって繰り広げられた直接対決は、「大臣の疑問を資料で説明したい」という藤井氏の言葉で始まった。
 「総選挙との関係で私のことを考える、という動きも聞くが、事実に基づいた判断をいただかないと承服できない」藤井氏はこう語り、辞任要求が衆院選に向けた「小泉内閣の人気取りの一環」との見方が広まっていることを念頭に置いて、強く反発した。そのうえで、公団の債務超過を示す財務諸表を作成したのに隠ぺいしていた、とされる問題について「一部の個人が勉強していたのは確かだが、内容が不十分で、上にあがらなかった」などと説明した。
 石原氏は「そんな説明では納得できない」と一蹴(いっしゅう)。「(総裁の)国会答弁が二転三転している」「公団内部の部下からそのような(内部告発の)話が出ている。泥仕合になれば、トップが責任をとるものだ」などと激しく迫った。
藤井氏は途中で、「これ以上のことは大臣と2人きりで話したい」と秘書官などの退室をもとめ、一連の問題の背後に、利権がらみの複雑な裏事情があることをにおわせた。石原氏は「アングラの話で総裁の知っていることは、すべて明らかにすればいい」と拒否。
藤井氏は、さらに「12月に(道路公団の)改革方針が決定するまでに、公団として自らの改善を提案する、ということでどうか」と、続投を前提とした打開案を提案した。
 石原氏が「自分で改革を進めていけると考えているのか」と追及すると、藤井氏は「後任の民間人に泥をかぶってもらうのは無理。私はデストロイヤー。既得権者から憎まれる。嫌な現実が伴うが、私が大臣に及ばないように処理する。地位に恋々、という気持ちではない」と、柔軟な姿勢をみせた場面もあった。
 長いやりとりのすえ、石原氏は「納得できないし、私の質問に答えていない。この際、人心一新して改革に当たりたい。進退を含めて一任してほしい」と最後通牒(つうちょう)を突きつけた。
 藤井氏は「改革という名の下での個人攻撃だ」と激しく反発。「私が怒ると、10年でも20年でも戦う。私はいつも泥をかぶってきた。私が抑えてきたことがたくさんある」と反撃した。
 石原氏は「辞表を書いてほしい。そうすれば、後任や改革の継続、公団職員の名誉を政治生命をかけて守る」と決断を促した。
しかし、藤井氏はおさまらず、逆に複数の政治家の名前に言及しながら、「(小泉)総理には、内閣が致命傷を負わないように抵抗の芽を摘みながらやることの重要性を伝えてほしい。きわどいことが出てくるので、選挙が心配だ。短命内閣になると言ってくる人もいる」と述べ、人事を強行すれば不祥事が表面化し、小泉内閣に悪影響が及ぶことまでほのめかした。
 両者の溝がこの会談で一段と深まったことも、17日の藤井氏の公開聴聞という異例の事態につながった一因と見られる。
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